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生活保護制度における世帯の認定について

生活保護を申請する際、一人暮らしなら当然世帯人数は一人となります。

夫婦なら2人、親子ならその人数、それは普通に考えれば当たり前のことですよね?

世帯として認定される人数は、今後述べていく『資産』を調査する際、その世帯員全員の資産等が保護の要否判定に使われる材料となります。

本記事はこんな方におすすめ

  • 世帯の認定の違いについて知りたい方
  • こういう場合は世帯に含まれるの?

ここでは、私がケースワーカーとして多くの生活保護者の方を見てきた経験を元に、実際にあった事例を中心に述べていきます。

ケースワーカ―とは生活保護者の担当者のことを指します

生活保護手帳について

世帯の認定だけでなく他の案件についても、全て『生活保護手帳』に則り、各福祉事務所が判断を行います。

逆に言うと生活保護手帳に記載のないことは、できない・してはいけないことになります。

例え記載があったとしても、保護者の方の状況や事情を総合的に判断して、各福祉事務所が決定します。

つまり、生活保護手帳に記載があるからと言って、何でもかんでも保護者の方の言う通りにはいかない場合があるということです。

世帯の認定について

生活保護手帳には世帯について以下の記述があります。

次 第1

 同一の住居に居住し、生計を一にしている者は、原則として、同一世帯員として認定すること。

 なお、居住を一にしていない場合であっても、同一世帯として認定することが適当であるときは、同様とすること。

ここで、なお書きの箇所について詳細に記載があり、

局 第1

1 居住を一にしていないが、同一世帯に属していると判断すべき場合とは、次の場合をいうこと。

  1. 出かせぎしている場合
  2. 子が義務教育のため他の土地に寄宿している場合
  3. 夫婦間又は親の未成熟の子(中学3年以下の子をいう。以下同じ。)に対する関係(以下「生活保持義務関係」という。)にある者が就労のため他の土地に寄宿している場合
  4. 行商又は勤務等の関係上、子を知人等にあずけ子の生活費を仕送りしている場合
  5. 病気治療のため病院等に入院又は入所(介護老人保健施設への入所に限る)している場合
  6. 職業能力開発校等に入所している場合
  7. その他1から6までのいずれかと同様の状態にある場合

出かせぎしている場合など、ここに列挙している状態に遭遇したことはほぼありませんが、5の「病気治療のため~」はよく見かけます。

例えば、高齢の夫婦の一方が病院に入院している場合などです。

夫が病気で入院中だけど、年金だけじゃ医療費の支払いが心配だわ!

このような悩みは多く聞かれます。

ここで気を付けたいのは、例えば私(妻)一人なら生活していけるので、入院中の夫だけ生活保護を受けたいということは難しいということです。

夫婦ともに同じ住所で今まで一緒に生活していた生活実態がありながら、夫婦の片方のみを生活保護の対象とすることはできないと言っていいでしょう。

それが、上記で記載した「同一世帯として認定」ということになります。

ただ、普段でさえ年金収入だけでギリギリの生活なのに、急な病気で入院したために医療費が払うことができない、どうしよう?

安心してください。

受給している年金収入額等にもよりますが、同一世帯でも生活保護の対象になる可能性は十分にあります。

居住地の福祉事務所にぜひ相談しましょう。

生活保護制度上、入院中の生活費は居宅(家)での生活費より少額であることを把握しておきましょう

世帯分離について

生活保護手帳には、同一世帯に属していると認定されるものでも、世帯分離して差し支えないことも列挙されています。

世帯分離とは、文字通り、世帯を分離することで一方を生活保護の対象としないことをいいます

よくある事例を生活保護手帳から抜粋しますと、

局 第1

2(8)救護施設、養護老人ホーム、特別養護老人ホーム若しくは介護老人福祉施設、障害者支援施設又は児童福祉施設の入所者と出身世帯員とを同一世帯として認定することが適当でない場合(保護を受けることとなる者とその者に対し生活保持義務関係にある者とが分離されることとなる場合については、世帯分離を行わないとすれば、その世帯が要保護世帯となるときに限る

例えば、上記の施設に最近入所した母と、アパート暮らしをしている息子が一人いたとして、2人が生活に困ったとのことで生活保護の相談や申請をしたとします。

2人分合算の生活保護の最低生活費と収入等を比較した場合、息子の収入だけでは2人まとめて生活保護受給の対象となってしまいますが、世帯を分けてあげることにより、息子は息子の収入だけならば1人で生活可能との判断に至れば、世帯分離をして母だけ生活保護の対象とすることができます。

福祉事務所としては、保護を受ける必要のない人は受けずに、公金支出の抑制に繋げたいのが本音です。

生活保護費も税金ですからね!

まとめ

最後に世帯の考え方についてまとめます。

生活保護の相談や申請を行う際、福祉事務所の担当者は住民票の登録状況を必ず調べます。

他市に住民票が残っている方は、申請した市で住民票を調べても情報は出てきません

住民票の登録状況を踏まえて、生活実態や家計のやりくりの状況を聞いた上で、世帯をどう捉えるか判断します。

先程もお伝えしたように、全ては生活保護手帳を調べながら、上司と相談しながら決定します。

場合によっては申請者の思うようにいかないかもしれません。

それでも、生活保護の相談や申請はいつでも何回でもできますので、生活に困ったらすぐにお近くの福祉事務所にまずは電話しましょう。

生活保護が受けられなかった場合など、上手くいかなかった場合はどうしたらよいかも聞いてみましょう。

きっとアドバイスをしてくれると思いますよ。

私はそのようにしていましたから。

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